先日、兵庫県立芸術文化センターで舞台「悪人」を観てきました。

「悪人」は言わずと知れた吉田修一氏の小説。映画化もされ、妻夫木聡と深津絵里が主演を演じました。

今回はその舞台版。しかも二人舞台です。

私は何でこの舞台を知ったのかというとBSジャパンで三島由紀夫作「命売ります」のドラマで中村蒼さんを知り、久々に惚れ込んでしまい、検索していた時にこの舞台のことを知ったのです。しかもなぜか東京のシアタートラムで何公演もしているのに、兵庫だけ最後の最後に1公演とはどういうこと??まぁ実質この舞台の千秋楽に立ち会えました。

「悪人」のあらすじは私が語るまでもありませんが、殺人犯として追われることとなった祐一と誰からも存在を知られることなく過ごす光代の出会い、逃避行、別れを描いた作品。殺された若い女も若い女を道端に捨てた大学生もどこか悪いけれど、やはり殺した祐一が一番悪いのか?逃げようと提案した光代が悪いのか?祐一を幼いころ捨てた母親が悪いのか?「悪人」とは何なのか?を突き付ける作品です。
そしてラスト近く警察に追い詰められた灯台の廃墟で祐一は光代の首を絞める..というもので、これは光代が祐一を忘れられるように祐一がわざとやったのかそれとも本当に殺そうとしたのか..
映画版ではどちらか分からないまま観客に解釈を委ねていたと思います。
しかし、舞台版は前者を取っているような感じで救いようのないストーリーの中で少し光明があったと思います。

二人芝居ということで本来なら出てこないといけない人をどのように登場させるのかなぁと思っていたら美波さん演じる光代がストーリーテラー的な役割を担ったり、手紙という形で出したりして、二人でも十分でした。
セリフの中に「好き」「愛してる」なんて全く出てこないし、むしろこの二人の切なく想いあう心情を表すには二人芝居で良かったのではないかと思えるほどでした。佐賀弁もすごく悲し気な感じに聞こえました。

何と言っても美波さんが佐賀の田舎で何もかも小さく生きてきた光代から祐一と出会ってたくましくなっていく姿を熱演。完全に中村蒼さんを引っ張っていたなぁ。そして中村蒼さんは祐一みたいな憂いのある役がやっぱりステキ!そこにほとばしる色気と一瞬の笑顔にキュンとなってしまいました。

映画も良かったけれど、舞台は生で見られるので情熱がそのままこちらに移ってくる感じでした。

ということで、美波さんのファンにもなってしまったのでした。

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